“またね。”
体験入学以来の高校。

ガラスに移る、制服姿の自分を見て

本当に受かったんだと、今さら実感した。

大ちゃんと同じ高校に─



お母さんと別れて自分のクラスへと足を運ぶ。

担任の挨拶と説明を受けて体育館へと移動した。

席は自由らしく、空いている席に腰掛けた。



入学式が始まる。

『軽く』なんて言ったくせに、延々と続く校長の話。

ボーっとしながらうとうとし始めた時。

「先生の話長くない?暇だよね?」

右側から聞こえた声に振り向く。

茶色いストレートの、菜摘と同じくらいの長さの髪。

くっきりアイラインの大きな目を細め、細い足をクロスさせる。

「あ、うん。めっちゃ暇」

名前は『理緒』。

たぶん菜摘より背が高い。

なんだか意気投合しちゃって、ずっと話していた。


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