“またね。”
「なっつ、なんでここ受けたの?理緒はここしか入れなかったんだけど」

社交的な理緒に、すぐに打ち解けた。

入学式はいったいいつまで続くんだろうか。

「菜摘もー。頭悪いもん。あと…」

なんとなく…

なんとなく。

理緒になら言っていいかな、と思った。

美香のことがあって、軽い人間不信になりかけていたのに。

第一印象かな。

理緒とは仲良くなれる気がしたんだ。

第一印象って、本当に大切だと思う。



「この学校に…好きな人いるんだ」



ふと、大ちゃんの笑顔を思い出す。

それだけで、少し泣きそうになった。



大ちゃん、元気かな。

会いたいな…。



「えー!タメ?」

「ううん、2こ上だよ。3年」

「そっかあ。うまくいくといいね!」

お決まりの会話に、苦笑いを浮かべる。

「んー…その人、彼女いるんだよね。しかも今は音信不通」

ちょっと話しすぎかもしれない。

でも、つい話してしまったのは

理緒の第一印象が、本当に良かったから。

「そっか…。じゃあ明日探してみようよ!」

そう言って微笑んだ理緒は、すごく可愛くて

話してよかったと、菜摘に安心感を与えてくれた。
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