“またね。”
後ろから、名前を呼ぶ声がした。

声の主はすぐにわかった。

この声、忘れるわけがないよ。

忘れた日なんてなかった。

振り向くと、そこにはやっぱり─



「…大ちゃん…」



─…会いたかった。

会うのも、声を聞くのも3ヶ月ぶり。

それなのに、とても懐かしく思うのは

この3ヶ月間が、本当に苦しかったから。



「久しぶりじゃん!お前ちゃっかり受かったんだ」

まるで何事もなかったかのように、笑顔を向ける大ちゃん。

最後に会った時より短くなっている髪。

そしてやっぱり変わらない、可愛い笑顔。

「うん…久しぶり。なんとか受かったよ」

「そっかあ。おめでと!」

ぐしゃぐしゃと頭を撫でる。

久しぶりの感覚が嬉しくて、泣きそうになった。



「そういや俺さ、携帯変えたんだよ。赤外線しよ」

携帯を向けられ、菜摘も慌ててポケットを探る。

2人の携帯が並ぶと、お互い固まった。

また同じ機種で、今回は色まで同じだったから。
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