“またね。”
『連絡する』じゃなく、『連絡して』って言うところが大ちゃんらしい。

いつ送っていいか迷ったけれど、無難に9時くらいに送ることにした。

《送信:大ちゃん
菜摘だよ。今日びっくりした》

すぐ返ってきた返事に、エラーメールを思い出す。

『大ちゃん』の文字を見て、泣きたくなるほど安心した。

《受信:大ちゃん
メールおせーよ!俺もびっくりした。前みたいによろしくね》

遅いなんて文句言うなら、自分からメールしてくれたらいいのに。

…もしかして、待っててくれたのかな。



─『前みたいに』─



ねぇ、大ちゃん。

菜摘ね、メールしたんだよ。

返ってこなくて

本当に悲しかった。

エラーメールを見て

目の前が真っ暗になった。



《送信:大ちゃん
うん。じゃあもう寝るね。おやすみ》

言ってこないなら聞かない方がいい。

大ちゃんはきっとはぐらかす。

そういう人だ。

《受信:大ちゃん
おやすみ。またね》



もちろん気にはなるけど

嫌われていないなら

前みたいに戻れるなら

今はそれでいい。

せっかくこうしてまた会えたのに、深く追及する勇気なんて、菜摘にはなかった。

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