“またね。”
放課後。
作戦通り、3人でさっそくゲームセンターへ向かった。
いるわけがないのに、会いたくてどうしようもなくて
ほんの小さな奇跡に賭けるしかなかった。
一瞬でも、ただの偶然でもなんでもいい。
ただ、もう1度会いたい。
自転車をこぐこと約15分。
目的地の、街中にあるゲームセンターに到着。
「やっぱり高校生いっぱいいるじゃん」
「でもいないみたいだね。菜摘どう?」
「うーん…」
隆志と辺りを見渡してみるも、それらしき人物は見当たらない。
とりあえず1周してみたけど、やっぱり『山岸』はいなかった。
「いるわけないか…」
そんな漫画やドラマみたいな偶然、あるわけがない。
そんなことは…ちゃんとわかってた。
「わかんないよ、あとからくるかも。もうちょっと様子見よう?」
「うん…ありがとね」
なんだかんだ優しい伊織が、大きな目を細めて微笑む。