“またね。”
「じゃあなっつ、そろそろ彼氏ほしくない?」

先生がきても4人の話は止まらない。

由貴の意味深な笑みと意味不明な一言に驚く。

「…彼氏?」

そういえば…

大ちゃんのことを好きになってから、『彼氏』とかってあまり頭になかった気がする。

大ちゃんとは両想いになりたいって思ってたけど、それだけだった。

『付き合いたい』というより、単に『好きになってほしい』だけ。

「うーん…言われてみればそりゃほしいけどできないし。それにさ、『彼氏』ってのにあんまいい思い出ないんだよね」

『元彼』という単語で思い出すのは1人だけ。

最初はうまくいっていて、本当に幸せだったのに

ある日突然そっけなくなって、その理由もわからないまま振られたっけ。

初めての失恋だった。

それ以外は…

正直、もう思い出したくもない。



「…やっぱいらないや」

「え?なんで?」

「よくわかんないから」

「…なにそれ?」

やっぱり『付き合う』ってよくわからない。

何をしたらいいの?

失うくらいなら、初めから求めない。



…苦しい恋は

もう嫌だよ。
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