“またね。”
「いいじゃん。なっつとメールしたいって人いるんだけど、どう?」

「紹介ってこと?」

「うん。まあ、そういうこと」

…紹介とかってあまり好きじゃない。

そういうのって軽い人ばっかりだし、これもいい思い出がないから。

知らない人とメールするのも面倒臭いし。

「軽い人ならお断りです」

「軽くないよー!」

「シカトしまくっていいなら」

紹介の意味ないじゃん、と麻衣子が笑う。

まあ確かに。

「かっこいいし、いい人だよ?ね、メールくらいならいいじゃーん」

由貴が甘えた声で言うから、ちょっと断りにくくなる。

んー…

メールくらいなら…。

「…まあいっか」

「ほんと!?じゃあアドレス教えとくね!」

渋々了承すると、由貴はニッコリ笑った。

可愛いなコイツ。

ちなみに理緒、由貴、麻衣子は、昼休みや放課後に上級生の男子群が見にくるほど、もう校内でも『可愛い』と評判だったりする。

もうひとつおまけに言えば、菜摘は可愛くもなんともない、ごく普通の顔だ。



連休中に遊んで仲良くなった人らしい。

詳しくは聞かなかったけれど、由貴は『いい人だから』とだけ言っていた。

紹介する時って、大抵そう言うと思うんだけど…。

少し不安を覚え、ため息を吐く。



─菜摘は

大ちゃんから逃げたんだ。



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