“またね。”
夜布団に入ると、ちょうど携帯が鳴った。

サブ画面にスクロールされる文字を見て、相手を確認する。

…知らないアドレスだ。

《由貴にアドレス教えてもらったよ!隣のクラスの亮介です!》

…ああ、すっかり忘れてた。

そういえばそんなこと言ってたっけ。

目を擦りながら返信する。

《菜摘です。隣のクラスなんだ。よろしくね》

それなら菜摘のこと知っててもおかしくないか。

とりあえずアドレスを登録すると、メールはすぐに返ってきた。

《受信:亮介くん
俺ら入学式ん時に隣だったんだけど覚えてない?ちっちゃくて可愛いなって思ってたんだよね!》

入学式?

ずっと理緒と喋ってたし、全く覚えてない。

てか『可愛い』って?

そりゃ『可愛い』なんて言ってくれるのは嬉しいけど、やっぱり軽い人なのかな。

それに『ちっちゃい』は余計でしょ。

と、心の中で猛烈に突っ込みを入れる。

《送信:亮介くん
ごめん、覚えてないや。でもありがとう》

それから少しだけメールをして、眠りについた。



『電話帳に1人増えた』

その程度にしか思わなかった。

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