“またね。”
昼休み、亮介が教室にきた。

今日は慌ただしい日だな。

「なっち!聞いたぞ!」

『聞いた』って言葉を聞くだけでうんざりする。

由貴に手紙をもらってから、もう何回言われたかわからない。

…まだ5回目くらいだけど。

「あー、うん」

心配してくれるのはもちろん嬉しいけど、隠してた意味ないでしょ。

噂って本当に広まるのが早い。

「誰も信じてないし気にすんなよ。俺らはなっちの見方だから!」

なんて言われてるのかはわからないけど、信じてくれてる人もいる。

ほんの数人でも、すごく心強い。

「片付けます?」

腕を組み、ははっと笑いながら麻衣子が言う。

…『片付ける』って。

「いいよ、ほっとく」

菜摘を信じてくれてる友達だっているし、別に平気だ。

もし直接何かしてきても、人に頼るくらいなら自分でやる。

それに隆志が『安心して』って言ってたし─

今はそれを信じるだけ。



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