“またね。”
「お前なに騒いでたの?」

休み時間。

憂鬱になっている菜摘には、ちょっと眩しすぎる笑顔。



─そっか。

今は金曜日の3時間目。



「リレーのアンカーになっちゃってさ…」

「マジ?すごいじゃん」

人の気も知らないで、

出かけた台詞を飲み込んだ。

きっとわかっているからこそ、大ちゃんは頭を撫でてくれた。

「俺も出るよ。アンカーで」

「はっ?ほんと?」

「植木と松ちゃんも出るし」

植木くんと駿くんはなんとなくわかるけど、本当に意外だ。

運動神経がいいことは知ってるけど、人一倍面倒臭がり屋の大ちゃんが、リレーのアンカーを引き受けるなんて。

そんなに速いのかな。

ちょっと、かなり見てみたい。

かっこいいだろうな─



「だから頑張ろうね。1位になったらご褒美あげる」



…そんなこと言われたら

頑張らないわけにはいかないじゃない。

「約束ね」

小指を差し出されたら

気付けば、小指を絡めてしまう。

「…うん。頑張るね」

─…大ちゃんは、すごい。



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