“またね。”
本気で走ってるかもわからない感じなのに2人も抜かしちゃって、見事1位。

男子のアンカーは200メートル。

他の人が疲れて座り込む中、大ちゃんは立ったまま、やっぱりニコニコしている。

─ちょっと、かっこよすぎだよ。



1年生の男子がスタートすると、女子の準備が始まる。

ハチマキとタスキを手渡されて、緊張はピークに達した。

隆志の彼女とアンカー対決…なんてベタな展開はないみたいだけど

“都ちゃん”のクラスのアンカーは、都ちゃんといつも一緒にいる子だった。



由貴に携帯を預けようとした時、ちょうどランプが光った。

《受信:大ちゃん
頑張れよ!》

─たった一言だけど

他の誰に言われるよりも、大きな支えになった。



トップバッターの麻衣子がスタートした時、緊張がほぐれた。

菜摘はいつも本番になると落ち着くんだけど、今日は─



きっと、大ちゃんが見てくれているから。
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