“またね。”
「何回かけたと思ってんだよ」

顔を上げずに携帯を確認する。

大量の不在着信の中に、2つだけある『大ちゃん』の文字。

「…2回」

「そんだけ?まあいいや」

たった2回だけど、大ちゃんからの貴重な着信。

毎回思うけど保護したい。

「お前なに泣いてんの?頑張ったんだから泣かなくていいんだよ」

隣に温もりを感じる。

外からは、総合順位を発表する声が聞こえてきた。

「泣くなよ。ね?」

優しい言葉、かけないでよ。

余計に涙が止まらなくなる。

「菜摘は頑張ったよ。バスケ部とかに混ざってんの、俺ちょくちょく見かけたもん」

菜摘ってけっこう負けず嫌いだから、本気で1位狙ってたんだ。



大ちゃんはきっと─

それもわかってる。

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