“またね。”
『1年C組』と書かれた教室のドアに隠れながら、こっそり中を覗く。

入学して2ヶ月も経てば目立っている子くらいは把握しているから、都ちゃんの顔もなんとなくなら知ってる。

都ちゃんは、クラスでは目立つグループにいるから。



少しの間教室を覗いていると、都ちゃんを見つけた。

黒いストレートのセミロングに、白のベスト。

呼ぼうとした時、都ちゃんも菜摘に気付いたらしく、気まずそうに歩いてきた。

「…えっと…都ちゃんだよね?菜摘です」

変な挨拶。

でもやっぱり緊張する。

「…うん。ね、場所変えない?」

「あ、うん」

場所を変えるって言ったって今日はずっと休み時間みたいなものだから、人気の少ない場所なんてそう見つからない。

4階っていう手もあるけど…

あそこは静かすぎて、逆に気まずい。



結局、2階へ繋がる階段に座ることにした。

階段の掃除はもう終わってるみたいだから。

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