“またね。”
座ったのはいいけど、結局気まずいことには変わりない。

ちょっと離れて座ったから余計に。

…まあくっついて座るような仲じゃないから、当たり前なんだけど。



「…みっこね、妬いてたんだ」

切り出したのは、意外にも都ちゃんだった。

「だって菜摘ちゃんは隆志の元カノじゃん」

─そうだ。

菜摘は隆志の幼なじみで、大親友で

それと同時に“元カノ”でもある。

「なのに菜摘ちゃんだけは消せないなんて、隆志はまだ菜摘ちゃんが好きなんじゃないかって…」

隆志のこと“元彼”として見てない。

最低だけど“それ”とは切り離してた。

忘れてたわけじゃない。

忘れたいわけじゃない。

ただ─

隆志のことを、そういう風に見たくなかった。

「みっこ、全部聞いてるからさ。付き合ってた時のことも、隆志がずっと菜摘ちゃんを好きだったことも」

いくら2人が『幼なじみ』でも、付き合っていたことは事実なんだから

『元彼』と『元カノ』なんだよね…。
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