“またね。”
自分のことしか考えていなかった。

そんなの誰だって嫌に決まってるのに。

でもまさか、隆志が全部話してたなんて思わなかったんだ。

「でも隆志に言われたの。俺らはそんなんじゃないからって。菜摘は俺の宝物だからって」



─ちょっと

泣きそうになった。

『宝物』なんて言ってくれたんだ─



「…隆志はさ、中途半端な気持ちで付き合ったりしないよ。都ちゃんが好きだから付き合ってるんだよ」

菜摘がこんなこと言える立場じゃないかもしれないけど─

隆志がどれだけ一途なのか、菜摘が一番よくわかってる。



隆志って、けっこう秘密主義なところがあって

特に菜摘とのことは、あまりいい思い出じゃないと思う。

それなのに全部言ったってことは

隆志にとって、都ちゃんも『宝物』なんだよ。



「…うん。ありがとう。ひどいことしてごめんね」

「菜摘こそごめんね」

何もわかってなかったのは菜摘。

誰の気持ちも考えてなかった。

「みっことも仲良くしてほしいな。いい?」

『仲良くしてほしい』なんて改めて言われると、ちょっと照れくさい。

けれどそれよりも素直に嬉しかった。

『登録してないけど知ってるアドレス』が、『みっこちゃん』になった日。
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