“またね。”
話が終わって都ちゃんが教室に戻ってからも、菜摘はまだしばらくその場にいた。

なんか─

純粋に『すごい』と思ったんだ。

他の女を、仮にも『元カノ』を『宝物』なんて言われたのに

都ちゃんは納得して、認めてくれて、『仲良くしてほしい』とまで言ってくれた。



隆志も隆志だよ。

そんなこと言ったら振られちゃうかもしれないのに、ちゃんと話して説得した。

みんなすごいな。

菜摘には絶対に―



「こら。掃除サボんなよ」



誰もいないと思っていた階段に響いた声。

振り向かなくても誰かはわかるけど、ビックリしてつい振り向いた。

「なんでいんのさ」

「ん?俺もサボり仲間」

ニコニコしながら隣に座る。

珍しくキャップを被っていて、なんだか可愛い。

「いつからいたのさ」

「最初っからー」

…全部聞いてたんだね。

盗み聞きなんて大ちゃんらしい。
< 214 / 407 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop