“またね。”
【それでもいいよ?】

ふっと笑って、亮介が続ける。

【わかんないってことは、好きになるしれないってことじゃん?それでいいよ。好きになれなかったら…振ってくれていいから】

今にも消えてしまいそうな声に、返す言葉が見つからない。

だって─

そう言ってくれるのを、心のどこかで望んでいたから。



「…うん。わかった。付き合おっか」



最低だ。

純粋ぶって、いい子ぶって

菜摘ってこんなに計算高かったっけ。



【…マジで!?ありがとう!!】



─『なっちの誕生日に告ろうって、ずっと前から決めてたんだ』─

照れくさそうに呟いた一言に

少し、胸がちくりと痛んだ。

でも亮介に惹かれているのは確かなんだ。



…あと。

大ちゃんは振り向いてくれない。

それをもうわかってたから、いい加減やめたかった。

大ちゃんだけじゃないって、必死に自分に言い聞かせてた。

苦しかったの。

このままだったら、また中途半端なことを繰り返してしまいそうだったの。

それなら一人の人とちゃんと付き合った方がいいって、そんな勝手すぎる事情。

相手を傷つけることには変わりないのに。



ねぇ、亮介。

ありがとう。

ごめんね…。
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