“またね。”
玄関を抜けるといろいろな出店が並んでいる。

一般公開してるし、この高校はイベントが楽しいことで有名だから、外はすごく賑やかだ。



太陽の日差しに目を細める。

見渡すと、少し離れた場所に3Fの出店を見つけた。

「大ちゃん」

「菜摘じゃん。歌合戦ちょっと見たよ」

みんなクラスTシャツや甚平を着ているのに、やっぱり大ちゃんはいつも通り制服姿。

本当に大ちゃんらしいけど、ちょっと甚平姿とか見てみたかった。

「うん、知ってるよ」

「お疲れ」

「ありがと!」

差し出された唐揚げを受け取り、ニッコリと微笑んだ。

イベントに興味がない大ちゃんが、わざわざ見にきてくれたことが嬉しい。

「200円ね」

「えっ!お金とんの!?」

「当たり前だろー」

もう唐揚げは一口で食べちゃったから、少しふてくされながら財布を取り出す。

「嘘だよ。頑張ったご褒美」

アップにした髪に触れられて、少し─

ドキドキした。
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