“またね。”

「じゃあ焼きそば買う」

「３００円」

「おまけしてよ」

「売り上げかかってんだよ」

「ケチ！バカ！」

「…お前ぶっ殺すぞ」

渋々もう１００円を取り出して、大ちゃんの手に置く。

ちゃっかり大盛りにしてくれるところが大ちゃんらしい。

割りばしを受け取ると、大ちゃんの担任らしき先生が、２人に大量の唐揚げを差し出した。

「山岸。これやるから、彼女と食え」

─彼女？

…に、見えるのかな。

ドキドキする。

でも喜んじゃダメだ。

「先生、こいつ彼女じゃないから」

「ん？違うのか？」

「でももらう。ありがとー先生」

胸がズキズキと痛む。

傷ついちゃダメなのに。

実際に彼女じゃないんだから、否定するのは当たり前なのに。



菜摘にはもう、亮介がいるのに。

頭ではわかってるのに、体がちっともわかってくれない。