“またね。”
2度目なら
「ほんとにねぇ。なんであそこで聞けないかねぇ」
1週間経った今でも痛いところをついてくるふたり。
ケラケラ笑う隆志の肩を、力いっぱい叩く。
「ほんとうるさいわバカ!もう知らない。隆志にはもう何も言わないからっ」
「冗談だって。高校入ったらまた会えるもんな」
いじける菜摘の頭を、隆志がポンポンと軽く叩く。
「…うん。そうだよね」
やっぱり、もう高校に入るまで会えないよね。
その頃には菜摘のことなんか忘れてるだろうな…。
窓側の最後列という特等席に座り、頬杖をつく。
気温は低いけれど、太陽の日差しが心地いい。
“またね”
グラウンドで走り回る下級生を眺めながら
小さくため息を吐いた。