“またね。”
昼休みの校内はいつもお祭り騒ぎだ。

人混みを抜けると、見慣れた姿が目に入った。

「隆志!」

「お、菜摘だあ」

都ちゃんの一件があって以来、隆志とはさらに仲が深まったんじゃないかと思う。

菜摘にとっても、隆志は宝物だから。

言わないけど。

「みっこちゃんとどう?」

「普通だよ。うまくいってるし」

「そっかあ」

『男女の友情は成立するか』

そう聞かれたら、菜摘は自信を持って『もちろん』と答える。

隆志との関係は絶対に崩れない。

絶対に―



「菜摘!」

隆志と話し終えて教室に戻る途中、菜摘を呼び止める怒鳴り声が響いた。

ああ─

怒ってる。



眉間にしわを寄せながら、隆志の背中と菜摘を交互に睨み付ける。

「ふざけんなよ」

菜摘を見下すように睨み、低い声でそう言った。



もう1つの変化。

それは─

束縛。




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