“またね。”
そして最近少し困っていること。

「ねぇ、山岸くんのアドレス教えてくれない?」

他のクラスの子たちに呼ばれると、だいたいこう言われる。

『紹介して』

『アドレス教えて』

そこまで頻繁に言われるわけじゃないけど、そんなこと菜摘に言われても困る。

「自分で聞きなよ」

毎回言う台詞。

「だってなっつ、山岸くんと仲いいじゃん」

毎回返ってくる台詞。



正直うんざりする。

前ほど会ったりはしていないけれど相変わらず仲はいいし、会えば必ず話す。

だからといって、大ちゃんを誰かに紹介するなんてまっぴらごめんだ。



教えたくない。

でも菜摘は、亮介と付き合ってるわけで

そんなことを言える立場じゃないから言わない。

どこから噂がもれるかわからない。



「ねっ!お願い!」

みんな大ちゃんに彼女がいることは知ってるらしい。

『メールくらいなら別によくない?』

何度かこう言われた。

「人に頼ってないでさ、自分で聞きなよ。それに彼女いるんだから無理だよ」

何度断ってもキリがないから少しきつく言うと、2人は文句を言いながら去って行った。



大ちゃんは特に目立つ人じゃないけれど、一部で密かに人気がある。

またこれでサイトに悪口書かれるのかな─



大ちゃんの何を知ってんの?

何も知らないくせに。

大ちゃんはあんたらになんか興味を持たない。



─これが本音。

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