“またね。”
「ほんとごめんな。少し寝ていいよ」

前みたいに

付き合い始めた頃のように優しい亮介。

こんなに優しく微笑む亮介を見たのは、いつ以来だったかな─

「うん…じゃあちょっと寝るね。少し経ったら起こしてね」

「わかったよ。おやすみ」

布団に入ると、亮介も隣に寝転がった。

微笑む亮介に頭を撫でられながら、眠りに就いた。



素直に寝たのは、亮介が戻ってくれるならじゅうぶんだったから。

─…本当にバカだった。

自分のことしか考えないで行動すると

いつか返ってくるのかな。

前みたいに戻れる、うまく付き合っていける。



…わかってたのに。

わかってたのに、菜摘はどこまでも逃げようとしてた。
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