“またね。”
その日の昼休み、たまたま職員室の前を通りかかると、生徒指導室から意外な人が出てきた。

「駿くん?」

もうさすがに金髪ではないけど、駿くんの後ろ姿はどこか特徴的だからすぐにわかった。

「おう、菜摘。また悪いことしたのか」

「してないよ。たまたま通りかかっただけ。駿くんこそ何やらかしたのさ」

「進路相談だよ」

駿くんは意外にも成績優秀らしく、1人だけ大学に行くみたいだ。

大ちゃんと植木くんは、もちろん就職。

「そうなんだ。てか大ちゃんは?」

駿くんが『ははっ』と笑う。

どうして笑われたのかわからなくて、少し首をかしげた。

「…気になる?山岸」

「へっ!?」

声が裏返る。

一気に顔が熱くなった。

「違うよっ!だっていっつも一緒にいるから!」

「植木のことはどうでもいいの?」

「そうじゃなくて…」

「俺の進路相談に山岸がついてくるわけねぇべ」

当たり前のことを笑いながら言われて、もう全身が熱い。

恥ずかしいわけじゃない。

バレたことに対して焦っただけ。



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