“またね。”
地下歩道から学校までの道のりは長い。

歩くのが下手な菜摘は何度も滑っていた。

「お前、滑りすぎだろ。歩き方不安定だよね。そのうちコケるよ」

だって晴れてるから、地面がツルツルなんだもん。

「大丈夫だよ」

転ぶのは恥ずかしいから慎重に歩く。

「何が大丈夫なんだよ」

少し前を歩く大ちゃんが、菜摘を横目に見ながらふっと笑う。

転んだりしたらきっと大ちゃんは大笑いして、バカにしてくるに決まってるもん。

転ぶわけにはいかない、と変な意地を張る。

両手でバランスをとりながら歩く。



「お前、危なっかしいよ」



そう言って差し出された左手。

大ちゃんは菜摘に背中を向け、前を見ていた。

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