“またね。”

隣にいた友達は煙草を消し、『部屋に戻る』と言って去って行った。

急にふたりきりなんて緊張するし、こんなの嬉しすぎる。

あんなに会いたかった山岸さんと、今話してるんだ。

名前まで覚えてくれたし。

「門限ないですよ」

なくはないんだけどね。

でもそう聞いてくるってことは…そういうことだよね?

「そっかあ。帰っても暇?」

「暇ですよ」

……これは、誘われる?菜摘から誘うべきなのかな?

誘いたいのは山々だけど、『じゃあ遊んでください』って一言が出てこない。

いつもなら簡単に言えるのに、菜摘ってこんなに内気だったっけ。

「じゃあさ、俺の暇潰しに付き合ってくれる?」

パッと顔を上げると、ニッコリと微笑む山岸さん。

結局、山岸さんが誘ってくれた。


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