“またね。”
「…ごめんね。変なメール送って」

涙が溢れそう。

ううん─

もうとっくに溢れていた。



【なんかあったの?】

後ろが騒がしい。

カラオケかな。

「…彼女といるんじゃないの?」

【いないよ。今植木たちとカラオケ】

そうなんだ。

よかった…。

【…どした?言ってみ】

優しい声を聞いてしまったら

もう我慢できなかった。



「…助けて…」



助けて。

大ちゃん―



【はっ?今どこ!?】

「公園…」

【待ってろ!】

そう言って、一方的に切られた電話。



『待ってろ』って…

『公園』としか言ってないのに。

場所わかるの?

でも、また涙が溢れちゃって─

ただただ、大ちゃんがくるのを待つしかなかった。



少しだけ温かくなった機械を

強く、握り締めながら。
< 266 / 407 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop