“またね。”

裏切り

あのあと何度もあった亮介からの着信に、帰ってから気付いた。

『ごめん』と一言書かれたメールに、『もういいよ』と返す。

亮介が謝ることじゃない。

あんなことをされても文句を言えないくらい、もうたくさんたくさん傷つけてきた。

謝られたくない。

今はただ、別れる理由とタイミングが欲しい。



1月中旬。

「じゃあ授業終わったら迎え行くわ」

「うん。早退したりしないでよ」

亮介との不順な付き合いは、変わらずにズルズルと続いていた。



「なっつ、亮介と遊ぶの?久しぶりじゃない?」

理緒の笑顔に『うん』と返す。

あれ以来、亮介とは1度も会わなかった。

お互い友達とばかり遊んでたから。

今日は久しぶりに亮介と遊ぶ。

「うまくいってんの?」

はしゃぐ由貴。

みんなにはクリスマスの出来事を何も話していない。

知っているのは、あの場にいた3人だけ。

「んー…まあまあ」

「マジ?いいなあ」

─…本当の気持ちも、みんなには言っていなかった。



純粋に『好きな人』を想う理緒。

純粋に2人を応援してくれている由貴。

そんな2人には、どうしても言えない。
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