“またね。”
自分の都合だけで人をここまで追い詰めたという事実は消えない。

亮介から太陽のような笑顔を奪ったのは菜摘なんだ。

優しくて、照れ屋で、甘えん坊な亮介。

人として好きだったはずなのに、いつしかその人間性すらも失わせてた。

亮介は最初からわかっていて

─『俺の方が好きだよ』─

ずっと不安を抱えていて、ずっと我慢していて

あの日、何かが切れたんだと思う。

亮介がわかってること

菜摘ずっとわかってたの。

それでも、それをまた利用した。

だから─



恨んでくれたらいい。

『こんな最低な女』って

憎んでくれたらいい。

私は君の笑顔を奪ったんだから。

この短いようで長い7ヶ月間

私は、君を苦しめ続けていたんだから。

君を、ずっと傷つけ続けていたんだから。

最低な裏切りだ。



謝らないから―

どうか

どうか許さないでください。
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