“またね。”
化粧を直してから4人で玄関へ向かうと、もう卒業生がいた。

混雑していて、もう誰が誰だかわからない。

でも─

菜摘の得意技。

大ちゃん探し。



「いた…」



すぐに見つけた菜摘は、3人に手を振って大ちゃんの元へ駆け寄る。



「卒業おめでと!」

後ろから大ちゃんに体当たりをすると、大ちゃんはバランスを崩して驚きながら振り向いた。

植木くんや駿くんたちは手を叩いて笑う。

「お前かよ!ありがと」

微笑む大ちゃんに、笑顔で応える。

学校でみんなと話すのも、これが最後なんだ…。

改めて寂しさに襲われる。

「お前なにその顔。寂しいの?」

何回聞くんだろう。

ちゃんと『寂しいよ』って言ったのに。

もしかして…大ちゃんも寂しいのかな。

「そりゃ寂しいよ。もう一生会えないかもしれないし。大ちゃん就職だもんね」

大ちゃんは配送会社に就職が決まっていて、時間帯は夜中。

学校がある菜摘とは真逆の生活だ。

「一生会えないかもかあ。…菜摘、ちょっと話そっか」

「え?あ、うん」

植木くんと駿くんにもう1度『おめでとう』と伝え、再び校内へ足を運ぶ。

一瞬目が合った駿くんが、微笑みながら、口パクで『頑張れ』と言ってくれた。
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