“またね。”
それから2人は、時間を忘れてたくさん話した。

大ちゃんとは何時間話しても話が尽きない。

どれだけ話しても話し足りない。

「やっぱお前といたら楽しいわ」

途中、さりげなく言われたこの一言が

本当に嬉しかった。



楽しい時間はあっという間に過ぎるもの。

外はもうすっかり暗くなっていた。

「てかもう5時じゃん!俺ら4時間も喋ってたんだ」

そんなに?

そういえば本当に暗い。

すぐ隣にいる大ちゃんの表情すら少しぼやけて見える。

そんなことにも気付かないほど、話に集中していた。

「あー…じゃあ帰ろっか」

離れたくない。

でも仕方がないこと。

立ち上がり、どちらからともなく向かい合った。



「じゃあ、またね」

優しい笑顔で頭を撫でる。

─『またね』─

この言葉以上に嬉しいことはない。

でも─

「また会えるかわかんないよ?」

また会いたいよ。

「たぶん会えるよ。そんな気がする」

「…うん。大ちゃんから言うなら会えるかな」

2人で笑い合う。

そして─

大ちゃんが、菜摘を強く抱き締めた。


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