“またね。”
「…彼女に怒られるよ?」

いつになったら強がりな性格から卒業できるんだろう。

このまま離さないで。

離れたくないよ…。

「見られてねーもん」

ずっとずっと、抱き締めていてほしい。

「やっぱ浮気者じゃん」

大ちゃん─



「お前ほんとちっこいよな」

菜摘が小さいんじゃなくて、大ちゃんが大きいんだよ。

「…この匂い、甘くて落ち着く」

大ちゃんは─

ほんのり甘い香りと

セブンスターの匂い。

セブンスターを1本吸う度に胸が締め付けられるんだ。

菜摘ね、この香りが大好きだよ─



ゆっくりと離れる。

もうさよならなんだね…。

「じゃあ、またね」

離れたくない。

離れたくないよ。

「うん…またね」

少しの沈黙のあと、大ちゃんはもう1度、菜摘の頭を撫でて

背を向け、ゆっくりと歩いて行った。



ねぇ、大ちゃん。

また会えるよね─?

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