“またね。”
着いたのは車で1時間弱の場所にある夜景スポット。

ここに至るまでの狭い林道は不気味だったけれど、その不気味さが引き立て役になっているのか、夜景はとても綺麗だ。

「こんなとこに夜景スポットあったんだ!」

夜景なんて見るのは本当に久しぶりで、菜摘は外に出てはしゃいでいた。

先客がいないのをいいことに、おかまいなしに飛び跳ねる。

「やっぱお前ガキだわ!」

大ちゃんがケラケラと笑う。

本当に楽しい時の顔。

「ガキじゃないってばっ」

菜摘も嬉しくなっちゃって、冗談混じりに言い返した。

「ガキだよ。マジうける」

大ちゃんは笑いながら菜摘の手を取り、もう少し高い所へと坂道を登って行く。

手を繋いだのが何度目かは、もうわからないけど

やっぱりドキドキした。



頂上に着くと、下とは比べものにならないくらいの景色。

数分歩いただけでこんなにも違うのかと、本当に驚いた。

「すごいすごい!!めっちゃ綺麗!!」

「うるせーよ。さっきまで泣いてたくせにー」

そう言って菜摘をからかい、大ちゃんは無邪気に笑う。

「泣いてないもん。菜摘マジ感動!」

軽く体当たりをすると、おでこを小突かれた。

こんな瞬間がとても幸せ。
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