“またね。”
─…え?

今なんて言った─?



「お前なんつー顔してんの?」

菜摘の頬を軽くつねりながら意地悪に笑う。

さっきと変わらない、余裕の笑顔。



─ああ

『友達として』ってことか。



混乱していた頭が一気に冴える。

「ありがと。友達としてでしょ?菜摘も大ちゃん好きだよ」

どうしてわざわざこんなこと言うんだろう。

そんなの今さらじゃん。

微笑み返し、夜景に目を向ける。

「ちげーよ。ライクじゃなくてラブだよラブ」

腕を強く引かれて向かい合う態勢になった。

微笑む大ちゃんの綺麗な瞳に、再び混乱する。



え…どういうこと?

ラブってラブ?

頭がついていかなくて、体が小刻みに震える。



「『好き』は『好き』でも、なんていうか…『愛してる』の方?女として好き」



─『愛してる』─



今、確かにそう言ったよね?

菜摘、夢見てるのかな。

聞き間違いじゃないよね─?
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