“またね。”
それと、もうひとつ。

菜摘はやっぱり、この人が─



「…大ちゃん、好きだよ」



初めて菜摘から抱き付いた。

直接気持ちを伝えたのも初めて。

この2年間で、初めて。



「ほんとに?俺も菜摘好き」

そして初めて、菜摘から唇を重ねた。

20cm以上も身長差があるから、背伸びしてやっと届く。

この距離さえもどかしい。

大ちゃんは優しく微笑み、菜摘の髪に触れた。



頭を撫でられるのは好き。

髪に触れられると

愛しくて、どうしようもなくなる。



「可愛い。好きだよ」

『可愛い』って、また言ってくれた。

嬉しくて、もう1度キスを交わす。

菜摘も大ちゃんが好きだよ。

大好き。

愛しくてたまらない。



「…大好き…」



震える声で呟いた。

それ以上何か言えば、涙が溢れてしまいそうで

胸に顔を埋めたまま、必死にしがみついていた。



離れたくない。

離したくない。

お願いだから、離さないで─



どちらからともなく手を繋ぎ、ベッドに座った。


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