“またね。”
大ちゃんの腕とセブンスターの香りに包まれながら、幸せに浸っていた。

夢が覚めてしまうその時まで、たくさん話をした。

「こないだ調べたんだけどさ。菜摘の誕生花、ラベンダーなんだって」

「ほんと?じゃあ夏になったらラベンダー畑でも連れてってやるよ」

短くなった煙草を灰皿に押し付けながら、大ちゃんが言う。

「ほんと!?」

「うん。けっこう遠いけど大丈夫?」

「うん!行きたい!」

『夏になったら』

未来を示すその言葉が嬉しくて、大ちゃんに抱き付く。

背中まである長い髪を撫でながら、大ちゃんは優しく微笑んだ。

「夏っていつ?」

「8月とかだろ」

2ヶ月後…。

「そっかあ。楽しみにしてるね」



ねぇ、大ちゃん。

その頃まで、一緒にいられる?

その頃には、彼女になってる?

この小さな約束が、本当に嬉しかったんだよ。



この恋に、未来があると

信じてもいいですか─?

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