“またね。”
─なんて、そんなのはやっぱり強がりでしかなくて。

─『彼女とは別れるから』─

─『もう少しだけ待ってて』─

─『菜摘が好きだよ』─

どれかひとつでも、もう1度言ってくれたなら

菜摘はずっと、待ち続けていられるのに。

こんな不安も、一瞬で吹き飛ぶのに。



《送信:大ちゃん
時間つくれない?話したいことあるんだけど》

彼女と別れないなら、終わらせたい。

終わらせるなら、ちゃんと話したい。

簡単な気持ちじゃないから。

恋愛ごっこなんてしたくない。

《大切な話だから》

そう付け足し、送信ボタンを押す。

すぐにきた返事に期待している自分がいた。

菜摘はいつまでバカなんだろう。

《受信:大ちゃん
俺も話したいことあるよ》

大ちゃんが『話したいこと』?

なんだろう。

菜摘の嫌な予感は当たる。

きっと嫌な話だろうな─

《送信:大ちゃん
いつ話せる?》

そう送ると、信じられない返事がきた。



《送信:大ちゃん
今メールで話そうよ。もう会えないしさ》



─は?

もう会えない?

どうして?

意味わかんないよ…。

震える手で文章を打つ。
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