“またね。”
─え?

今なんて言った?



─『彼女と別れた』─



嘘でしょ?

大ちゃんが、

彼女と別れた─?



何よりも願っていた一言なのに、頭が混乱してついていけない。

だってまさか…

連絡がくることだけを願っていたわけで、別れるなんて思ってもみなかった。



「…大ちゃん、今から会える?」



自分でも気付かないうちに、口が勝手に動いていた。

どうしてそう言ったのかはわからない。



【いいよ。迎え行く】



『別れたからやっと付き合える』

そんな気持ちがなかったと言えば、それは嘘になる。

『別れた』と言われて、確かに嬉しかった。

だってその一言を待っていたんだから。



でも─

『別れた弱味に付け込もう』とか

そんな気持ちじゃないことは確かなんだ。

ただただ心配だった。



そして何より、今すぐ会いたかった。


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