“またね。”
着いた時には少し雨が降っていたため、車からは下りなかった。

「雨降っちゃったねぇ。さっきから曇ってたもんね」

「うん。夜景見えないじゃん」

窓を少し開け、煙草をくわえる。

すかさず灰皿を引く大ちゃんが好き。

何も気にしていないようで、意外と気が利くんだよね。

「お前、煙草の吸い方ヤンキーっぽい」

「はっ?ひどい!」

本当にショックで、煙草を消そうとしたら

『嘘だよ』と微笑み、菜摘の手から煙草を取ると、自分の口にくわえた。

その仕草にドキドキする。

「ん、まずい」

「…菜摘帰る」

「冗談だっての」

菜摘の頭をポンと軽く叩き、ケラケラと笑う。

そんなくだらないことを繰り返しながら、雨が上がるのを待った。

でも雨は激しさを増す一方だ。

数十分経っても雨は止まなかった。



「雨止まないね」

「そうだね」

「…てかさ、聞いていい?」

聞きたかったけれど、なかなか切り出せずにいたこと。

「お前ほんとよく喋るな。なに?」

さっきから喋りっぱなしの菜摘に大ちゃんが笑う。

そんな大ちゃんの顔を見ることができずに、口を開いた。



「…なんで別れたの?」


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