“またね。”
大ちゃんの唇が、菜摘のおでこにそっと触れる。

本当にそっと、

…まるで何かをためらうかのように。



「あのさ、お願いがあるんだけど」



菜摘の手を握り、小さく呟いた。

『お願い』?

大ちゃんにそんなことを言われたのは初めてだ。

「うん。なに?」

見上げると、大ちゃんは力なく微笑んで

さっきよりも強く、確かに、

唇が触れ合った。



「あのさ」



大ちゃんの『お願い』って─?

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