“またね。”
PM8時。

待ち合わせは、2人が再会したコンビニ。

色気も何もないけれど、嬉しかった。



目一杯オシャレをした。

大ちゃんが好きな、カジュアルな服を着て

普段は塗らないファンデーションも丁寧に塗って

大ちゃんのために伸ばした髪も、アイロンでしっかりとストレートにした。



待ち合わせの時間を少し過ぎた頃、見慣れた車が菜摘の前に停まった。

「菜摘」

呼ばなくたってわかるのに、大ちゃんはわざわざ窓から顔を覗かせる。

この瞬間がたまらなく好き。

「久しぶり」

助手席に座り、シートベルトを締める。

「うん。久しぶり」

車が発進する。

行き先は決まってるから、いつもの相談会も今日はない。

いつものように、他愛のない話をしながら、順調に車を走らせる。



大ちゃんの横顔が好き。

しっかりと筋肉がついた腕も

菜摘を簡単に包み込んでしまう、大きな手も。

運転している時の男の人って、どうしてこんなにかっこいいんだろう。



いつもは窓の外を眺めるけれど、今日はバレないように、大ちゃんの横顔を見つめていた。



大ちゃんの姿を、目に焼き付けていた。
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