“またね。”
《夜は大輔が仕事だから無理。12時でいいよね?》

12時って、学校あるのに。

彼女は菜摘のこと知ってるのかな。

そもそもどうしてバレたの?

徐々に落ち着きを取り戻すと、少しずつ疑問が生まれた。

《学校だから無理です。3時過ぎなきゃ行けません》

さっきまでの混乱が嘘かのように冷静だ。

灰を落としながら送信する。

《調子のんなよ。学校とかどうでもいいわ。あたしも仕事休みとったから》

調子のんなよって言われても、学校はしょうがないじゃん。

短気な菜摘は、寝起きも重なり、だんだんと苛立ちが募る。

自分が悪いなんてちっとも思っていないし、罪悪感だってこれっぽっちもないから。



だって、この人がいなければ

菜摘は、大ちゃんの隣にいられたかもしれないのに。



《学校はしょうがないじゃん。こっちにも都合があります》

すっかり短くなった煙草を人差し指と親指でつまみ、最後の一口を大きく吸う。

煙を吐きながら石に煙草を差すと、同時にメールが返ってきた。



《人の男に手ぇ出したのはそっちでしょ?

うちら婚約してるし、子供もいるんだわ》

< 369 / 407 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop