“またね。”
─は?

婚約?

子供?

何それ。

嘘でしょ?

そんなの聞いてない。

結婚するってこと?

─『別れたいけど、別れられない』─

あれはこういうこと─?



─『菜摘とは切りたくない』─

─『菜摘がいなくなるなんて、考えられないんだよ』─

─『世界で1番愛してる』─



ねぇ、大ちゃん。

─『ごめんね』─

─『なんでもないよ』─

あの時の『ごめんね』はこういうことだったの?



《婚約してることも子供いることも聞いてないし、知りませんでした。

学校は休めないから夕方でお願いします。大ちゃんもいるんですか?》

大ちゃんに会って、ちゃんと話して、スッキリしたい。

菜摘の中にある数少ない言葉じゃ、この感情を例えることができない。

『裏切られた』とさえ思った。



《大輔もいるわ。大輔に全部聞いたから。3時半にゲーセン。じゃあね》



─大ちゃんが言ったの?

どうして?

大ちゃんがわからないよ…。



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