“またね。”

「うん。どしたの?」

なるべく平然を装う。

大ちゃんがどうして慌てているのか全くわからない。

廊下は声が響くから、通話中のままトイレへ向かう。

【彼女からメールきたろ!?】

何を今さら…。

自分から全部白状したんじゃないの?

「きたよ。今日会うんでしょ?菜摘逃げないから安心してよ」

【ちげぇよ!】

違う?

何が?

意味わかんないって。

強がりでもなんでもない、少しイライラする。

「何が?自分で白状したんでしょ?」

彼女はそう言ってた。

《大輔に全部聞いたから》

見間違いなんかじゃない。

確かにそう書いてあった。

【だからちげぇって!】

「だから何が!?」



大ちゃんの話はこうだった。

彼女とヨリを戻し、そのまま泊めて、大ちゃんは寝た。

その隙に携帯を見られた。

そして逆上し、勝手に菜摘へメールを送った。

今電話ができるのは、昼まで会議があるから、車で向かっている途中みたいだ。



「…なるほど。そうだよね」

大ちゃんが自ら白状するわけがない。

少し考えたらすぐにわかること。

どうしてこんな簡単なことに気付かなかったんだろう。

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