“またね。”
【納得してる場合じゃねぇって!あいつたぶん殴る気だよ!俺も喋ったら殴るとか言われたし!】

彼女、本当に狂暴なんだ。

痛いのは嫌いだけど、それはそれで別にいい。

やっぱりトイレも響くから個室に入る。

「殴られたら殴り返す」

【バカか!】

大ちゃんは色々言っていたけれど、菜摘にとってはどうでもよかった。

【とにかく気を付けろよ!】

何に対してどう気を付けたらいいのかさっぱりわからない。

気を付けたところでどうなるわけでもないじゃない。



大ちゃんが会社に着いたから電話を切った。

最後に大ちゃんが言った『ごめん』の意味が1番わからない。

謝られたところで、菜摘はどうもできないのに。



待ち受け画面に戻った携帯を見ながらボーっとしていた。

婚約と子供のこと聞き忘れちゃった。

でも婚約してて子供がいるってことは、彼女は妊娠してるんだよね?

そんなに暴れて大丈夫なのかな。

携帯を閉じ、ゆっくりと立ち上がる。



何も焦ることはない。

だって、あったことを話す。

それだけだから。
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