“またね。”
人の男?

プライド?

ふざけんな。

何も知らないくせに。



─何も、知らないくせに。



体が震え、拳を握り締めた。

出会ってから今日までの記憶が、走馬灯のようによみがえった。



「そんくらいわかってるよ!だから何回も諦めようとした!」



─またね─

─菜摘ちっこいから、腕ん中におさまったじゃん─

─暖けー…。お前ガキだから体温高いんだよ─



「でも無理だった!」



─菜摘は『大ちゃん』でしょ?─

─信じられるのは、菜摘だけだから─

─…クリスマスプレゼント─



「好きな人に優しくされたら期待しちゃうよ!諦めきれなくなる!」



─なんかあったら俺に言えよ─

─お前わかりやすいんだよ─

─俺にとっても、菜摘は宝物だよ─



「菜摘はあんたが大ちゃんと付き合う前からずっと好きだった!」



─お前、危なっかしいよ─

─泣かなくていいよ。大丈夫だから─

─ひでぇ顔─


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