“またね。”
この間のカラオケで、大輔の隣にいたのが『寺田くん』。
大輔が中学生の女の子と話すところを初めて見たらしく、なんとなく気になっていたらしい。
それで美香に、『高山菜摘って子知ってる?』と、連絡がきたとのこと。
美香は顔が広いから。
【ふたりで遊んだんだって?いい感じなの?】
説明が終わると、美香が言った。
「遊んだってか話したけど、いい感じかはわかんない」
『うん』って答えられないのが悲しい。
【そうなんだ。好きなの?】
「うん、好きだよ」
素直に打ち明けた。
美香が一方的に大輔のことを知っているだけで、知り合いでもなければ関わりもないらしいから。
本人にバレる心配はないとふんでの暴露だ。
【じゃあ明日4人で遊ぼうよ!あたし寺田くんに誘われてるんだよね】
「明日?」
【うん。明日金曜だし遅くまで遊べるじゃん】
あたしは学校行ってないから関係ないけど、と美香が笑う。
「わかったよ。大輔に聞いてみる」
電話を切るとすぐにメールを送る。
事のいきさつを説明すると、人見知りらしい大輔はかなり嫌がったけれど、なんとか説得した。
明日も会えるんだ。