“またね。”
大ちゃんのメモリを呼び出す。

消そう。

もう会うことはない。

だから2年間見続けた、見慣れた『大ちゃん』の文字も、もう必要ない。

何度も送ったアドレス。

何度もかけた番号。

もう必要ない。

消さなきゃ。

必要ないんだよ…。



でも─

アドレスも番号も、もう頭に入っちゃってるんだ。

数えきれないくらい、ずっと見てきたから。

メモリを見なくたって全部わかる。



ねぇ、ラベンダー畑に連れて行ってくれるんじゃなかったの?

菜摘がいなくなるなんて考えられないんじゃなかったの?

菜摘が必要だって言ってくれたじゃない。

『世界で1番愛してる』って、言ってくれたじゃない。

ずっと好きでいるって約束したもん。



忘れられない。

忘れたくないよ。



ねぇ…

どうしたらいいの─

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