“またね。”

真実

あれから5ヶ月が経ち、もう季節は冬。

雪が積もっていて、辺りは一面、銀色の世界。

雪ってどこか寂しい気持ちになる。



2年前の冬は、大ちゃんの弱さを見た。

1年前の冬は、暖めてくれた。

こんな寂しい冬の日には─

大ちゃんはいつも傍にいて、手を握ってくれた。



学校帰りに1人でトボトボ歩いていると、ハザードをたきながら前に車が停まった。

「おーい!」

窓から顔を覗かせる。

「植木くんじゃん!」

雪が降っていたため、ラッキーと言わんばかりに乗り込む。

植木くんとはちょくちょく会っていたから、積もる話もなく普通に話す。

すると植木くんが言った。

「そういや菜摘、山岸と会ってねぇの?」

『山岸』

その名前に、心臓が激しく反応する。

「え…会ってないよ。なんで?」

必死に平然を装う。



「こないだ山岸と真理恵の結婚式あったんだけど」



─結婚式?

本当に結婚したんだ。

子供いるって言ってたもんね…。

わかってはいたけれど、聞いてしまうとショックは大きい。

< 388 / 407 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop