“またね。”
翌日、朝は天敵なはずの菜摘が、アラームが鳴る1時間も前に目を覚ました。
いつもより念入りに準備をして、鏡で何度もチェックする。
放課後には化粧なんて崩れちゃうのに、浮かれてる菜摘はそんなことは気にしない。
遅刻せず学校へ行った菜摘にみんな驚いてたけど、大輔と遊ぶことを伝えると、妙に納得してた。
4時間目の英語が終わる頃、制服のポケットに入ってる携帯が震えた。
先生に見つからないようにこっそりメールを確認する。
《受信:大輔
おはよ。今起きたあ。昨日寝るの遅かったけど、ちゃんと学校行った?》
初めて大輔からメールをくれたことが嬉しくて、授業中なのについ口元が緩む。
それに『今起きた』ってことは、起きてすぐ菜摘にメールしてくれたんだよね?
先生の目を盗んでメールを返す。
《送信:大輔
おはよ。ちゃんと学校きてるけど、もうお昼だよ?大輔が学校行ってないんじゃん》
《受信:大輔
俺は今日休みだもん。開校記念日ってやつ。だから暇なの》
え?
そこまで聞いてない。
もっと早く言ってくれたら学校サボったのに!
《送信:大輔
そうなんだ。わかったよ》
昼休みを知らせるチャイムが鳴り、携帯を閉じる。
学校がないってことは、今からでも遊べるんだよね?
先生が教室から出ていったことを確認し、鞄を持って勢いよく立ち上がる。
「菜摘帰るわ!」
「えっ?なんで!?」
クラスメイトの視線が菜摘に集中する。
気にせずにカーディガンを着て、チェックのマフラーを丁寧に巻いた。
「大輔と遊んでくる!」
「給食はー?」
「いらないっ。バイバイ!」
先生が戻ってこないうちに無断で早退した。
だって、早く会いたい。
1秒でも早く、会いたいんだ。